大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

静岡地方裁判所 昭和46年(行ウ)9号 判決

静岡県熱海市清水町一九番二号

原告

日正興業株式会社

右代表者代表取締役

土屋峰太郎

右同

土屋喜永

右訴訟代理人弁護士

堀口嘉平太

静岡県熱海市春日町一番一号

被告

熱海税務署長

加藤博

東京都千代田区霞が関三-一-一

被告

国税不服審判所長

岡田辰雄

右被告両名指定代理人検事

野崎悦宏

同法務事務官

海老沢洋

右同

杉山昇

右同

三谷和久

右被告熱海税務署長指定代理人国税訟務官

樋口繁男

指定代理人大蔵事務官

山田太郎

右同

大西昇一郎

右同

藤塚清治

右被告国税不服審判所長指定代理人国税審判官

山田健雄

同国税副審判官

桝谷憲治

主文

一  原告の被告熱海税務署長に対する過少申告加算税賦課決定処分取消の訴えを却下する。

二  原告の被告熱海税務署長に対するその余の請求及び被告国税不服審判所長に対する請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、請求の趣旨

1  原告の昭和四〇年一〇月一日から昭和四一年九月三〇日までの事業年度の法人税について、被告熱海税務署長が昭和四三年二月一四日付でした更正処分・重加算税賦課決定処分・過少申告加算税賦課決定処分は、いずれもこれを取消す。

2  前項記載の各処分に対する原告の審査請求について、被告国税不服審判所長が昭和四六年九月三〇日付でした裁決のうち、一部棄却した部分を取消す。

3  訴訟費用は被告らの負担とする。

二、請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二、原告の請求原因

一、原告は、土地・建物・山林の売買及び管理等を業とする株式会社である。

二、原告は、昭和四一年一二月二八日、被告熱海税務署長に対し、昭和四〇年一〇月一日から昭和四一年九月三〇日までの事業年度(以下「本件事業年度」という)の法人税につき、欠損金三三〇三万九八八九円・法人税額を〇として確定申告書を提出したところ、同署長は、昭和四三年二月一四日付書面で、原告の本件事業年度の所得金額を一億六四三五万〇八四三円・法人税額を五八九七万一〇〇〇円と更正するとともに、過少申告加算税七三万四六〇〇円・重加算税一三二八万三四〇〇円と賦課決定した。

三、そこで、原告は、昭和四三年三月一二日、右更正及び賦課決定処分のうち、本件事業年度の所得金額七一四万一五四三円・法人税額二二八万九〇〇〇円・過少申告加算税額一一万四四〇〇円を超える部分を不服として、被告熱海税務署長に対し異議申立をしたところ、同署長は、昭和四三年六月一〇日付書面で、原告の右異議申立を棄却する旨の決定をした。

四、そこで、更に、原告は、昭和四三年七月一〇日、名古屋国税局長に対して、本件事業年度の所得金額七一四万一五四三円・法人税額二二八万九〇〇〇円・過少申告加算税額一一万四四〇〇円を超える部分の取消を求めて審査請求をしたところ、右審査請求は被告国税不服審判所長に対してなされた審査請求とみなされた結果(国税通則法附則〔昭和四五年法律第八号〕第六条参照)、同所長は、昭和四六年九月三〇日付書面で、本件事業年度の所得金額を一億二八九七万四一五〇円・法人税額を四六二三万五六四〇円・重加算税額を一二四〇万五〇〇〇円とする一部取消の裁決を行つた。

五、なお、被告国税不服審査所長は、裁決で原処分の一部を取消したが、その残存部分を原処分の理由と異なる理由で維持しており、行政事件訴訟法第一〇条第二項の適用はないものと解する。

六、よつて、原告は、被告両名に対し、請求の趣旨記載の判決を求める。

第三、請求原因に対する被告らの認否

一、請求原因一項ないし四項は認める。

二、同五項は争う。原告の被告国税不服審判所長に対する訴えは、行政事件訴訟法第一〇条第二項に違背して許されない。

三、同六項は争う。なお、被告国税不服審判所長は、原告が本件事業年度の確定申告書を申告期限までに提出しなかつたことを考慮して、過少申告加算税の賦課決定処分を全部取消したうえ、無申告加算税(一〇七万九二〇〇円)を賦課決定した。

第四、被告らの抗弁(課税処分の根拠に関する主張)

一、原告の本件事業年度の所得金額について

原告の本件事業年度における所得金額算出の内訳を、申告所得との関連で明確にすると、別表記載のとおり一億二八九七万四一五〇円となる。

二、別表二の1の(1)について

1  原告は、昭和四一年六月二九日、有楽土地株式会社(以下「有楽土地」という)との間で、姉妹会社である観光開発株式会社(以下「観光開発」という)名義で、次のような内容の土地売買契約を締結した。なお、目的物件(3)は、本件事業年度末現在原告の買収予定地であつて、有楽土地との間には物件の引渡・所有権の移転登記・代金の授受が全くされていなかつたので、本件事業年度の売上からは除外した。

(一) 目的物件

(1) 熱海市伊豆山字七尾原一一七三番の一七七外二筆約九万〇三九六平方メートル(以下「本件伊豆山(1)の土地」という)

(2) 熱海市伊豆山字七尾原一一七三番の八三外八筆約四万九五八三平方メートル(以下「本件伊豆山(2)の土地」という)

(3) 熱海市伊豆山字嶽ヶ一一七二番の一約一万五七五六平方メートル(以下「本件伊豆山(3)の土地」という)

(二) 売買価額(本件伊豆山(1)(2)の土地のみ)

四億六五八九万四〇〇〇円

(三) 仕入価額(本件伊豆山(2)の土地のみ)

一億〇〇七一万二〇〇〇円

(四) 手数料

七五一六万五二五〇円

2  そこで、原告は、売上入金として二億九〇〇一万六七五〇円((二)-(三)-(四))と計上すべきところ、その一部二億円を入金計上したに過ぎないので、その差額九〇〇一万六七五〇円を売上計上漏れとして加算した。

3  なお、原告が、観光開発名義で本件伊豆山(1)ないし(3)の土地売買契約を締結したことは、次の事実に照らして明らかである。

(一) 原告と観光開発は、ともに荒木一作が代表取締役として会社全体を支配する個人会社であるうえ、観光開発自体は、休業中の法人で実態がない。

(二) 本件伊豆山(1)ないし(3)の土地売買に要した諸費用を原告が負担した。

(三) 原告は、本件伊豆山(1)ないし(3)の土地売買契約と一体をなしていた不動産交換契約の不履行によつて、有楽土地に示談金三二〇〇万円を支払つた。

(四) 本件伊豆山(1)(2)の土地売買の収益を原告が収受した。

(五) 本件伊豆山(1)(2)の土地は、原告が取得したものを一括売買されている。

(六) 原告及び観光開発代表取締役荒木一作は、本件伊豆山(1)(2)の土地売買益について納税申告をしていないし、右売買益は観光開発に帰属せず原告に帰属する旨申立てていた。

(七) 原告及び観光開発は、麹町税務署長・熱海税務署長・名古屋国税局長に対し、観光開発の行為の実質は全て原告に帰属する旨、申立てていた。

(八) 原告は、原処分に対する異議申立・審査請求・訴え提起の当初まで、本件伊豆山(1)(2)の土地の売主が原告であることを認めていた。

4  仮に、本件伊豆山(1)(2)の土地の売主が実質的には観光開発であつたとしても、原告は、税務訴訟における禁反言ないしは信義則上、売主が観光開発であると主張することは許されない。即ち、

(一) 原告と観光開発は、ともに荒木一作の支配する個人会社であり、両社の利益配分については両社において自由に決定しうるところであつた。

(二) しかして、被告の調査においても、本件伊豆山(1)(2)の土地の売主が両社のいずれであるか疑問があつたところ、原告及び観光開発は、税務官署に対し、原告が売主であり売買益については原告に課税するようにと申し出た。

(三) このように、原告及び観光開発の申し出のとおり、売主が原告であると認められた以上、原告が後においてこれと異なる主張をすることは、税務訴訟における禁反言ないし信義則上許されないというべきである。

三、別表二の1の(2)について

原告は、昭和四〇年一一月一二日、松本茂に対して熱海市南田一三九〇の四二の土地建物(以下「本件南田の土地建物」という)を二二〇万円で売却したが、売上計上額は右売却価額から建物の仕入原価五五万七七三五円を控除した一六四万二二六五円とすべきところ、二〇万円しか計上しなかつたので、その差額一四四万二二六五円を売上計上漏れとして加算した。なお、土地の仕入原価二〇万七五一一円については、別表三の4(土地原価)のなかに計上済みである。

四、別表二の1の(3)について

原告は、昭和四一年二月八日、岡崎靖夫及び浅見則光に対して、熱海市大洞四一一の一八五番外一筆三二四〇平方メートル(以下「本件大洞の土地」という)を二〇〇万円で売却したが、売上に計上していなかつたので、加算した。なお、土地仕入原価一七万四六四〇円については、別表三の4(土地原価)のなかに計上済みである。

五、別表二の1の(5)について

1  原告の売上額の計上については、土地原価を相殺して計上していたが、次の売買においては、土地原価を過大に計上することによつて売上額を不当に減額していたので、その合計金額一一五万〇八三一円を加算した。

・木村章三 四二万九六〇〇円

・安良喜ふとん店 四万八二三一円

・中山初江 六七万三〇〇〇円

2  木村章三に対する売上計上漏れ四二万九六〇〇円は、次のとおりである。即ち、原告は、昭和四〇年一〇月二九日、木村章三に対して熱海市桜沢一九六五の四四の土地を四八万円で売却したにも拘わらず、右売却代金四八万円から右土地の原価五万〇四〇〇円を控除した四二万九六〇〇円を売上に計上していなかつたため、これを原告の所得に加算した。

六、別表二の3について

原告は、横浜ゴム株式会社よりの借入金を、浜ゴム商事株式会社に対する支払手形(不渡)(当該年度中に浜ゴム商事株式会社が横浜ゴム株式会社に吸収合併されたため)として、支払手形勘定に一九五三万円を計上していたが、メツセンジヤー不動産が代位弁済したこと等により、実際の債務額は一九〇一万二七三六円になつていたので、その差額五一万七二六四円を雑収入として加算した。

七、別表二の5について

1  車両処分代金相当額 二九六万二九二〇円

2  原告は、使用中の車両を雑損九七万一五〇〇円として不当に損金計上していたので、これを否認した。

3  原告は、昭和四一年九月二一日、八州精工株式会社外一名に対する貸付金三八六七万四五一六円が回収不能であるとして債権放棄をし、当該貸倒れを雑損に計上したが、三七九九万六六〇〇円が不当であるので、その差額六七万七九一六円を雑損の不当計上として否認した。即ち、原告は、昭和三九年九月三〇日、右貸付金を一七九九万六六〇〇円減額し、社長借入金勘定へ振替(同額の社長借入金を減額)たが、本件事業年度において、再び貸付金を一八六七万四五一六円増額し、会社債務として振戻した(同額の社長借入金を増額)ため、その差額六七万七九一六円は、根拠のない貸倒れとして不当に雑損に計上したことになる。

4  別表二の5の四六一万二三三六円は、前記七の1の二九六万二九二〇円・同2の九七万一五〇〇円・同3の六七万七九一六円の合計額である。

八  別表二の6の(1)について

1  原告は、昭和三九年三月二六日、みつわ真珠工業株式会社から、熱海市上多賀字曾我の土地三万二七四五坪(以下「本件上多賀の土地」という)を九九〇〇万円で取得し、同年六月二九日、水野孝外六名に、うち三万坪を代金一億二〇〇〇万円(坪当り四〇〇〇円)で売却した。

2  その後、原告は、昭和四一年一月二一日水野孝に残余の土地二七四五坪を代金八二三万五〇〇〇円(坪当り三〇〇〇円)で売却し、当該売却土地の原価を五七〇〇万円として、売却損四八七六万五〇〇〇円を計上した。

3  このように、原告は、本件上多賀の土地を二回に分けて売却しているが、当該土地は一括取得した地続きの土地であり、双方には特別の地理的条件の差異もないのであるから、土地の仕入原価の配分は、譲渡した土地の面積比により按分した価額によるのが合理的と考えられ、右方法により本件事業年度に譲渡した土地の仕入原価を算定すると八二九万九二〇〇円となつて、売却損は六万四二〇〇円となるので、差引四八七〇万〇八〇〇円を売却損の過大計上として否認した(別紙第一参照)。

九、別表二の7について

原告は、昭和四一年一月二五日植村伊三郎に東京事務所の立退料二〇〇万円を支払つたとして、損金計上しているが、事実に反するものであり、その損金計上額を否認した。

一〇、別表二の8について

原告は、前期未払金として工事費に計上したもの(一七三万二七一三円)を、本件事業年度に代金支払の際再び損金に計上してきた。なお、原告は、本件事業年度末に、未払金として工事費に計上すべきもの(七三万五八〇〇円)を計上していなかつたので、右一七三万二七一三円から七三万五八〇〇円を控除した九九万六九一三円を、工事費計上不当として否認した。

一一、別表二の9について

1  原告は、石内寅一が資力を喪失したとして、同人に対する貸付金二五〇〇万円全額を貸倒金に計上したが、原告が石内寅一に二五〇〇万円を貸付けた事実はなく、右二五〇〇万円の貸付金は全額否認すべきものであり、被告らのした一四〇八万六四三六円の限度での否認は、右範囲内のものであつて適法である。

2  仮に、石内寅一に対する二五〇〇万円の貸付金が存在していたとしても、原告には松本トシ子名義で実質債権者石内寅一からの借入金一五七二万円があり、差引すれば、原告の石内寅一に対する実質債権額は九二八万円である。よつて、実質債権とみられる九二八万円を貸倒損として認容し、原告の借入金に相当する一五七二万円については、石内寅一に対して債権を贈与したものと認めて、寄付金として法人税法第三七条第六項及び同法施行令第七三条の規定により計算すると、損金算入額は一六三万三五六四円となり、損金に算入されない寄付金限度超過額は一四〇八万六四三六円となるので、当該金額を否認した。

一二、重加算税の賦課決定の適法性について

原告は、(1)本件伊豆山(1)(2)の土地売買にあたつて、譲渡価額の一部九〇〇一万六七五〇円を隠ぺい又は仮装したほか、(2)本件上多賀の土地売買にあたつて、売買価額を圧縮して不当な原価配分を行い、もつて過大な売却損四八七〇万〇八〇〇円を計上した。このことは、国税通則法六八条第二項に該当することは明らかであり、右仮装・隠ぺい部分につき同法施行令第二八条第二項に基づき重加算税額を計算すると、別紙第二のとおり一六一八万二二〇〇円となる。よつて、右範囲内でなされた重加算税一二四〇万五〇〇〇円の賦課決定は、適法である。

第五、抗弁に対する原告の認否及び反論

一、抗弁一項中、別表一、同表二の1の(4)・(6)、同表二の2・4、同表二の6の(2)、同表三の1ないし4は認めるが、その余は否認する。

二、同二項は否認する。

1  本件伊豆山(1)の土地は、従前より原告が所有していたところ、原告から観光開発へ、観光開発から有楽土地へと順次所有権が移転されたが、登記は中間省略により原告から有楽土地へ直接移転され、代金も有楽土地から原告へ直接二億円が支払われた。

2  この直後、観光開発と有楽土地との間で、乙第一号証の一の売買契約が締結された。右契約書では、既に売買をした本件伊豆山(1)の土地と、観光開発が浅井鐘英から一億〇〇七一万二〇〇〇円で買取つた本件伊豆山(2)の土地と、観光開発が第三者から買取る予定の本件伊豆山(3)の土地とを含めて、合計五億〇二一九万四〇〇〇円で売買することとした。けれども、本件伊豆山(3)の土地については、観光開発が第三者から買取ることができなかつたので、結局、本件伊豆山(1)(2)の土地について、観光開発と有楽土地との間で取引ができたのである。

3  このように、観光開発は、本件伊豆山(1)の土地を原告から二億円で購入し、本件伊豆山(2)の土地を浅井鐘英から一億〇〇七一万二〇〇〇円で購入し、右(1)(2)の土地を有楽土地に四億六五八九万四〇〇〇円で売却したのであるから、一億六五一八万二〇〇〇円が収入になるところ、松下三佐男に手数料として七五一六万五二五〇円を支払つたので、その差額九〇〇一万六七五〇円が観光開発の収入となる。ちなみに、右観光開発の収入九〇〇一万六七五〇円の大半は、松下三佐男と水上喜景弁護士により、伊豆開発株式会社(以下「伊豆開発」という)のために使われた。

4  有楽土地に示談金三二〇〇万円を支払つたのは、原告ではなく日本リーダー株式会社(以下「日本リーダー」という)である。

三、同三項中、本件南田の建物の仕入原価が五五万七七三五円であつたことは認めるが、その余は否認する。原告は、松下茂との間で本件南田の土地建物売買契約を締結したが、同人が同契約を履行しなかつたので、手付金二〇万円を没収しただけである。

四、同四項中、本件大洞の土地の仕入原価が一七万四六四〇円であつたことは認めるが、その余は否認する。原告は、岡崎靖夫及び浅見則光との間で本件大洞の土地売買契約を締結したが、同人らが同契約を履行しなかつたので、手付金五〇万円を没収しただけである。

五、同五項中、安良喜ふとん店及び中山初江の売上計上漏れ(合計七二万一二三一円)については認め、木村章三の売上計上漏れ(四二万九六〇〇円)は否認する。

六、同六項は否認する。

七、同七項中、1は認め2・3は否認する。

八、同八項は否認する。本件上多賀の土地は、昭和三九年に売却した三万坪の土地と昭和四一年に売却した二七四五坪の土地との間に地理的条件に差があり、面積比による按分は合理的ではない。

九、同九項・一〇項は否認する。

一〇、同一一項は否認する。原告は、山本武司ないし山本シゲ子に自己所有の伊東の土地を五五〇〇万円で売却したが、山本武司及び石内寅一から右代金のうち二五〇〇万円の借用の申入れを受けたので、これに応じて石内寅一に二五〇〇万円貸しつけ、それを山本武司と石内寅一が使うこととなつたのである。また、原告が松本トシ子からの借入金があることは裁判で確定しており、松本トシ子名義で実質石内寅一の債権というものはない。

一一、同一二項は争う。

第六、証拠

一、原告

1  甲第一ないし七号証、第八・九号証の各一・二、第一〇ないし二〇号証、第二一号証の一ないし二八、第二二・二三号証、第二四号証の一・二、第二五号証

2  乙第一号証の二・三は、官署作成部分の成立は認めるが、その余の部分の成立は知らない。第五号証、第三〇号証の一は、原本の存在・成立ともに認める。第二三号証は、原本の存在・成立ともに知らない。第四号証、第八号証の一・二、第一一・一二号証、第一五ないし一九号証、第二〇号証の一・二の成立は、いずれも知らない。その余の乙号各証の成立は認める。

3  証人水上喜景、同石内寅一、同荒木一作

二、被告ら

1  乙第一・二号証の各一ないし三、第三ないし六号証、第七ないし九号証の各一・二、第一〇ないし一九号証、第二〇号証の一・二、第二一ないし二四号証、第二五号証の一ないし三、第二六ないし二九号証、第三〇・三一号証の各一・二

2  甲第一号証、第一三号証、第一八ないし二〇号証、第二一号証の一ないし二八、第二三号証は、原本の存在・成立ともに認める。第七号証は、原本の存在は認めるが、成立は知らない。第八・九号証の各一は、官署作成部分の成立は認めるが、その余の部分の成立は知らない。第二四号証の二は、成立を否認する。第一四号証、第二二号証、第二四号証の一の成立は、いずれも知らない。その余の甲号各証の成立は認める。

3  証人小野和夫、同藤枝茂、同北村嘉市郎

理由

一、(当事者間で争いのない事実等)

請求原因一項ないし四項の事実は当事者間で争いがなく、原本の存在及び成立に争いのない甲第一号証、証人小野和夫、同荒木一作の各証言、及び弁論の全趣旨によれば、原告は、資本金七七万五〇〇〇円の株式会社で、本件事業年度当時は、荒木一作が代表取締役として会社全体を支配していた個人会社であつたことが認められる。

二、(原告の本件事業年度の所得金額について)

1  当事者間で争いのない事実

抗弁一項中、別表一、同表二の1の(4)・(6)、同表二の2・4、同表二の6の(2)、同表三の1ないし4、並びに、抗弁五項の安良喜ふとん店及び中山初江の売上計上漏れ合計七二万一二三一円、抗弁七項の1は、当事者間で争いがない。

2  別表二の1の(1)について

(一)  成立に争いのない甲第五・六号証、乙第一号証の一、同第二号証の一ないし三、同第三号証、同第二六号証、原本の存在及び成立に争いのない乙第五号証、官署作成部分の成立は当事者間で争いがなく、その余の部分も弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第一号証の二・三、証人小野和夫、同水上喜景の各証言によれば、抗弁二の1及び2の事実が認められるので、別表二の1の(1)の九〇〇一万六七五〇円は、原告の本件事業年度の所得である。

(二)  尤も、原告は、観光開発が、原告から買取つた本件伊豆山(1)の土地と浅井鐘英から買取つた本件伊豆山(2)の土地とを有楽土地に売渡したのであり、別表二の1の(1)の九〇〇一万六七五〇円は観光開発の収入であつて、同収入の大半は、松下三佐男と水上喜景弁護士により伊豆開発のために使われたものである旨主張し、証人荒木一作も右主張に沿つた証言をする。けれども、原告が観光開発名義で本件伊豆山(1)ないし(3)の土地売買契約をなしたのであり、別表二の1の(1)の九〇〇一万六七五〇円は原告の所得であつて、以上のことは、次の事実に照らして明らかである。

(三)  前掲乙第二六号証、証人小野和夫、同荒木一作の各証言によれば、観光開発は、本件事業年度当時、登記簿上は存在するものの、その実体は従業員もいないし何ら事業活動もしていない、いわゆる休業中の会社であつた。しかして、原告及び観光開発の代表者荒木一作は、昭和四二年頃名古屋国税局直税部の係員に対し、「不動産業界の一般的慣行として、土地の権利保全等のため、同じ事業目的を持つ会社をいくつか作つている」、「観光開発は、登記簿上だけ存在する有名無実の会社であり、本件伊豆山(1)ないし(3)の土地売買も、観光開発名義で取引しているがその実質は日正興業の取引である」旨言明していた(証人小野和夫の証言)。

(四)  しかも、観光開発(陳情当時の代表者は荒木一作と現在の原告代表者土屋峰太郎)は、審査請求(昭和四三年七月一〇日)後の昭和四四年三月二五日、麹町税務署長に対し、「観光開発は、昭和三二年五月一〇日に設立されたものの、営業の本拠地たる熱海市に戦前から設立されていた日正興業と全く同一の事業目的をもつて活動しており、名古屋国税局からも、観光開発名義でなした取引の全てについて、日正興業名義で更正処分を受けております」、「観光開発を設立した目的は、不動産業者の一般的慣行から土地の権利等の保全のためにしたことでありまして、実質は全て日正興業に帰属するものであつて、名古屋国税局でもこの実質に着目されて課税されたものと思います。」、「従つて、観光開発に帰属すべき資産・負債はなく、東京事務所の経費も全て日正興業の一般管理費中から賄われている現状です」、「以上のような次第でございますので、なにとぞ実質上の所得者たる日正興業に課税された名古屋国税局の課税措置(本件更正処分等のこと)を認め戴きたく、陳情に及んだ次第でございます」(要旨)旨の陳情書を提出している(前掲乙第二号証の一参照)

(五)  そのうえ、原告及び荒木一作も、本訴提起(昭和四六年一二月二七日)後の昭和四七年一一月九日、名古屋国税局長に対し、「観光開発名義の取引の実質は、全て日正興業の取引であり、日正興業が昭和四〇年に銀行不渡を出して負債が多く一般の信用がないため、観光開発の名義を使用したに過ぎません」、「従つて、これらの名義での取引は、全て日正興業の帳簿に計上して申告しています。」、「このことは、昭和四四年三月に、観光開発を管轄する麹町税務署長にも陳情書(前掲乙第二号証の一)を提出して、この事実を申立てています」(要旨)旨申立て(前掲乙第二号証の二)、更に、昭和四八年二月二七日にも、熱海税務署長に対し、「観光開発名義でなした取引の全ては、日正興業が昭和四〇年に銀行不渡を出して多額の負債を抱えているため一般の人の信用がないので、観光開発の名義を使用して取引をしたに過ぎません」、「従つて、観光開発名義の取引の実質は、全て日正興業に帰属するものであり、日正興業において法人税の申告をしますので、宜しくお取扱い下さるようお願いします」、「なお、これについては、昭和四四年三月二五日に、麹町税務署長にも、同様の趣旨の陳情書(前掲乙第二号証の一)を提出しています」(要旨)申立て(前掲乙第二号証の三参照)、原告自身が本件伊豆山(1)(2)の土地の売主であることを自認していた。

(六)  そもそも、原告は、審査請求(前掲甲第五・六号証参照)及び本訴提起(訴状請求原因三項の(一)参照)当初まで、本件伊豆山(1)(2)の土地の売主が原告であることについては、黙示的にせよ認めていたのである。ところが、原告は、昭和四八年七月四日付準備書面で、右土地の売買契約は伊豆開発がなしたものである旨主張するに至り、昭和四九年三月一四日付準備書面では、同契約は松下三佐男及び水上喜景弁護士がなしたものである旨主張を変更したが、更に、昭和四九年七月一八日付準備書面では、同契約は観光開発がなしたものである旨再度主張を変更しており、原告自身自己の主張の自信のなさを自認しているものといえよう。

(七)  加うるに、前掲乙第二六号証、原本の存在及び成立に争いのない甲第一八号証、成立に争いのない乙第二五号証の一ないし三、弁論の全趣旨により真正に成立したことが認められる乙第四号証、証人水上喜景の証言によれば、甲第一八号証の不動産交換契約は、昭和四一年七月二九日に観光開発名義で有楽土地との間で締結されたものであり、本件伊豆山(1)ないし(3)の土地売買契約と一体となつていたこと、右不動産交換契約が不履行となり、昭和四六年二月二六日観光開発名義で有楽土地に示談金三二〇〇万円が支払われているが、右示談金を支払つたのは原告であることが認められ、右事実からみても、本件伊豆山(1)(2)の土地の売主は原告であつて、観光開発は単に名義上の売主に過ぎないものというべきである。原告は、この点につき、右三二〇〇万円を支払つたのは原告ではなく日本リーダーである旨反論し、右反論を裏付けるために、甲第二四号証の一・二及び甲第二五号証を提出している。けれども、前掲乙第二号証の二、原本の存在及び成立に争いのない乙第三〇号証の一、成立に争いのない乙第三〇号証の二、同第三一号証の一・二によれば、原告は、昭和四七年末頃名古屋国税局長に対し、日本リーダーの実質は原告であるが、原告の名義では信用がないので、日本リーダーの名義を使用して土地売買を行つたものであり、実質は原告の整理のための取引であるから、原告として法人税の確定申告をする旨申立ており、それ故に、日本リーダーは、昭和四〇年四月一日から昭和四六年三月三一日までの六事業年度にわたつて何らの決算もしないで、法人税の確定申告書を所轄税務署長に提出していないのである。以上のことから、日本リーダーは独立して存在せず原告と一体として存在しているものであり、有楽土地への三二〇〇万円の示談金は、実質的には原告が支払つたものと認められる。

(八)  なお、原告は、別表二の1の(1)の九〇〇一万六七五〇円は観光開発の収入であり、同収入の大半は、松下三佐男と水上喜景弁護士により伊豆開発のために使われた旨主張し、証人荒木一作も右主張に沿つた供述をしている。けれども、前掲乙第二号証の一ないし三、同第二六号証、成立に争いのない乙第六号証、証人小野和夫、同水上喜景の各証言によれば、右九〇〇一万六七五〇円は、いつたん原告の収入として帰属した後、そのうちのかなりの額が原告から伊豆開発へ出資されたこと、松下三佐男及び水上喜景弁護士は、伊豆開発へ出資される前の右九〇〇一万六七五〇円の金銭については管理運用した事実が一切ないこと、松下三佐男は、伊豆開発が設立(昭和四一年一〇月八日)された後、伊豆開発の役員として伊豆開発の金銭管理をしたに過ぎないことが認められる。してみれば、いずれにしても、別表二の1の(1)の九〇〇一万六七五〇円は、原告の本件事業年度の所得であるといわなければならない。

2  別表二の1の(2)について

本件南田の建物の仕入原価が五五万七七三五円であつたことは、当事者間で争いがなく、証人小野和夫の証言及び同証言により真正に成立したことが認められる乙第一一号証によれば、抗弁三の事実が認められるので、別表二の1の(2)の一四四万二二六五円は、原告の本件事業年度の所得である。

3  別表二の1の(3)について

本件大洞の土地の仕入原価が一七万四六四〇円であつたことは、当事者間で争いがなく、前掲乙第一一号証、成立に争いのない乙第二七・二八号証、証人小野和夫の証言によれば、抗弁四の事実が認められるので、別表二の1の(3)の二〇〇万円は、原告の本件事業年度の所得である。原告は、本件大洞の土地売買契約は単に手付金を没収しただけであると主張するが、前掲乙第二七二八号証によれば、右売買契約に基づき岡崎靖夫及び浅見則光に所有権移転登記がなされており、売買契約が履行されたことは明らかである。

4  別表二の1の(5)について

安良喜ふとん店及び中山初江の売上計上漏れ合計七二万一二三一円については、当事者間で争いがなく、前掲乙第五号証、同第一一号証、証人小野和夫、同荒木一作の各証言によれば、抗弁五の2の事実が認められるので、別表二の1の(5)の一一五万〇八三一円は、原告の本件事業年度の所得である。

5  別表二の3について

成立に争いのない乙第九号証の一・二、原本の存在については当事者間で争いがなく、証人北村嘉市郎の証言によつて真正に成立したことが認められる乙第二三号証、及び証人北村嘉市郎の証言によれば、抗弁六の事実が認められるので、別表二の3の五一万七二六四円は、原告の本件事業年度の所得である。

6  別表二の5について

抗弁七項の1は当事者間で争いがなく、証人藤枝茂の証言、及び同証言により真正に成立したこことが認められる乙第一六号証、同第一九号証、証人荒木一作の証言によれば、抗弁七項の2及び3の各事実が認められるので、別表二の5の四六一万二三三六円は、原告の本件事業年度の所得である。

7  別表二の6の(1)について

(一)  成立に争いのない乙第七号証の一・二、同第二一号証、同第二四号証、乙第二一号証により真正に成立したものと認められる乙第二〇号証の一・二、及び弁論の全趣旨によれば、抗弁八の事実が認められるので、別表二の6の(1)の四八七〇万〇八〇〇円は、原告の本件事業年度の所得である。

(二)  原告は、本件上多賀の土地は三万坪の土地と二七四五坪の土地との間に地理的条件に差があり、面積比による按分は合理的でない旨反論する。けれども、本件上多賀の土地は一括取得された地続きの土地であり、三万坪の土地と二七四五坪の土地との間に特別の地理的差異も認められないうえ(前掲乙第七号証の一・二参照)、原告は、昭和三九年に三万坪の土地を坪当り四〇〇〇円で売却し(前掲乙第二一号証・同第二四号証参照)、昭和四一年に二七四五坪の土地を坪当り三〇〇〇円で売却しているのであるから、仮に双方の土地に地理的差異があつたとすれば、坪当りの仕入原価はむしろ二七四五坪の土地の方が低額に計上されるべきであり、被告らが主張する右土地の仕入原価八二九万九二〇〇円よりも更に低額となつたはずである。

(三)  してみれば、土地の仕入原価の配分につき、譲渡した土地の面積比により按分して別紙第一の価額によつた被告らの措置は、寧ろ原告に有利な配分方法によつているのであり、原告の主張は全く理由がないものといわなければならない。

8  別表二の7について

成立に争いのない乙第二九号証によれば、抗弁九の事実が認められるので、別表二の7の二〇〇万円は、原告の本件事業年度の所得である。

9  別表二の8について

証人藤枝茂の証言及び同証言により真正に成立したことが認められる乙第一八号証によれば、抗弁一〇の事実が認められるので、別表二の8の九九万六九一三円は、原告の本件事業年度の所得である。

10  別表二の9について

成立に争いのない乙第二二号証及び証人石内寅一の証言によれば、抗弁一一の1の事実が認められるので、別表二の9の一四〇八万六四三六円は、原告の本件事業年度の所得である。原告は、山本武司及び石内寅一から借用の申入れを受けたので、これに応じて、石内寅一に二五〇〇万円貸付けた旨主張する。けれども、前掲乙第二二号証及び石内寅一の証言(一〇丁裏から一二丁表・二〇丁表から二一丁裏)によれば、石内寅一は、原告会社代表者荒木一作から税金対策上必要だからと依頼されて、右二五〇〇万円の架空の借用証書を書いたのであり、原告から二五〇〇万円を借入れた事実など全くないことが認められるので、原告の主張は理由がないものといわなくてはならない。

11  原告の本件事業年度の所得について

以上によれば、原告の本件事業年度の所得は、別表四の一億二八九七万四一五〇円であることが認められる。

三、(原告の重加算税額について)

前記二の認定によれば、原告は、(1)本件伊豆山(1)(2)の土地売買にあたつて、譲渡価額の一部九〇〇一万六七五〇円を隠ぺい又は仮装したほか、(2)本件上多賀の土地売買にあたつて不当な原価配分を行い、もつて過大な売却損四八七〇万〇八〇〇円を計上した。このことは、国税通則法第六八条第二項に該当するので、右部分につき同法施行令第二八条第二項に基づき重加算税額を計算すること、別紙第二のとおり一六一八万二二〇〇円となる。

四、(原告の被告熱海税務署長に対する請求について)

1  原告は、被告熱海税務署長が昭和四三年二月一四日付でなした、原告の本件事業年度の所得金額を一億六四三五万〇八四三円とする更正処分の取消を求める。けれども、被告熱海税務署長の更正処分は、被告国税不服審判所長の一部取消裁決によつて、一億二八九七万四一五〇円を超える部分を取消されたのであるから、右更正処分は、国税不服審判所でも維持された一億二八九七万四一五〇円の限度で存続しうるに過ぎないところ、前記二の認定によれば、原告の本件事業年度の所得は一億二八九七万四一五〇円であることが認められるので、原告の被告熱海税務署長に対する更正処分取消請求は理由がない。

2  次に、原告は、被告熱海税務署長が前同日付でなした、原告の重加算税額を一三二八万三四〇〇円とする賦課決定処分の取消を求める。けれども、右賦課決定処分は、国税不服審判所でも維持された一二四〇万五〇〇〇円の限度で存続しうるに過ぎないところ、前記三の認定によれば、原告の重加算税額は一六一八万二二〇〇円であるから、原告の被告熱海税務署長に対する重加算税賦課決定処分取消請求も理由がない。

3  更に、原告は、被告熱海税務署長が前同日付でなした、原告の過少申告加算税額を七三万四六〇〇円とする賦課決定処分の取消を求める。けれども、前掲甲第六号証によれば、過少申告加算税賦課決定処分は国税不服審判所で全額取消されているので、取消の対象たる処分がもはや存在しないことが明らかであり、右過少申告加算税賦課決定処分取消の訴えは、不適法として却下を免れない。

五、(原告の被告国税不服審判所長に対する請求について)

1  原告は、被告国税不服審判所長が昭和四六年九月三〇日付でなした裁決のうち、原告の審査請求について一部棄却した部分の取消を求め、その理由として、同所長は、裁決で原処分の一部を取消したが、その残存部分を原処分と異なる理由で維持しており、このような場合は、行政事件訴訟法第一〇条第二項の適用はない旨、主張する。

2  けれども、行政事件訴訟法第一〇条第二項の「審査請求を棄却した裁決」のなかには、もとより審査請求の一部棄却裁決も含まれ、また、審査請求の一部棄却裁決はその限度において原処分を変更し、爾後原処分はその変更された形においてのみ存続しうるに過ぎないので、裁決の理由が原処分の理由とは異なる場合であつても、原処分を維持した裁決の実体的違法を理由として裁決の取消を求めることは、同条項にいう「処分の違法を理由として」裁決の取消を求めることに帰着し、同条項に違背するものといわなければならない。

六、(結論)

以上の認定及び判断によれば、原告の被告らに対する本訴請求中、被告熱海税務署長に対する過少申告加算税賦課決定処分取消の訴えは、不適法であるのでこれを却下し、その余の各請求は、いずれも理由がないのでこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条・民事訴訟法第八九条を各適用のうえ、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 松岡登 裁判官 人見泰碩 裁判官 紙浦健二)

別表 所得金額算出の内訳表

〈省略〉

〈省略〉

別紙第一 本件上多賀の土地売却損の過大計上額算出書

一、本件事業年度の譲渡原価

・〈省略〉

二、本件事業年度における売却損

・8,229,200-8,235,000=64,200

三、売却損の過大計上額

・48,765,000-64,200=48,700,800

別紙第二 重加算税額算出書

一、審査裁決後の所得金額等

1 所得金額 一億二八九七万四一五〇円

2 税額 四六二三万五六四〇円

二、申告所得金額に加算した金額の内訳

1 重加算税対象金額

(一) 本件伊豆山(1)(2)の土地の売上計上漏れ

九〇〇一万六七五〇円

(二) 本件上多賀の土地売却損計上否認

四八七〇万〇八〇〇円

2 その他の加算金額 二三二九万六四八九円

3 合計 一億六二〇一万四〇三九円

三、重加算税額の計算

1 重加算税を課さない部分の税額計算

(国税通則法施行令第二八条第二項)

(一) 課税標準

〔申告所得金額〕 〔その他の加算金額〕

△三三〇三万九八八九円+二三二九万六四八九円=△九七四万三四〇〇円

(二) 税額の計算

課税標準欠損につき税額は〇

2 重加算税対象税額の計算

〔裁決後の税額〕 〔重加算税対象以外の税額〕

四六二三万五六四〇円+ 〇 =四六二三万五六四〇円

3 重加算税額

〔重加算税対象税額〕

四六二三万五〇〇〇円× 〇・三五 ≒一六一八万二二〇〇円

(国税通則法第六八条・第一一八条・第一一九条参照)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例